Miss YNU （横浜国立大学）ファイナリスト塩見珠希オススメ『星の王子さま』

星の王子さま – The Little Prince

著者：サン=テグジュペリ
出版社：講談社英語文庫
発売日： 2004/8/18

星の王子さま/サン=テグジュペリ

この本は、砂漠に不時着したパイロットが、そこで出会った「星の王子さま」の話を描いた物語です。王子さまは自分の小さな星で出会った、バラとの関係に嫌気がさし、星を飛び出しますが、旅を続け、様々な出会いを経るうちに、バラの大切さに気づきます。私は物語の中で、次の場面が特に好きです。別れを悲しむパイロットに王子さまはこう言います。

「ぼくは、あの星の中の一つに住んで、笑うんだ。だから君が夜、空を眺めたら、星がみんな笑ってるように見えるだろう。」同じ星を見ていても、人によって見方は異なり、旅行者からすれば星は案内者で、実業家にとっては金貨かもしれない。そんな中、この言葉をもらったパイロットだけは、笑い上戸の星を見れるわけです。王子さまらしい感性で伝えられる言葉に、心がふんわりと暖かくなる気がするのです。

私は物心ついた時からこの本とともに過ごしていましたが、子供向けの童話のようでありながら、そのメッセージは奥深く、幼い頃は理解することができませんでした。しかし、歳を経て、大人に近づくにつれ、読むたびに気付かされることが増えていきました。大人が忘れてしまったこと、子供だけが知っていること。王子さまのいう「大人」「子供」とは単に年齢を指しているわけではないでしょう。もし、この本を読んで何も感じない人がいるならば、それはある意味で、子供心を忘れていないという、とても幸せなことかもしれません。